PJとパセリの会話
「飼育放棄」
パセリ:大統領のファーストドッグって、決まったの?
PJ: ポーチュギース・ウォーター・ドッグだって。
ラブラドゥードルじゃなくてよかったね。
パセリ:どうして?
PJ: 急に人気が出ると、ろくなことがないんだ。
パセリ:ふーん。
PJ: イヌでひと儲けしようって人たちが
遺伝子なんか関係なく、無理やり繁殖させるので
弊害がいっぱい出てくるんだ。
パセリ:弊害って?
PJ: 特定の病気が多くなったりすることだよ。
それにラブなのにラブらしい気質が消えたりとか、
ラブラドゥードルぽくないラブラドゥードルに
なったりとか…
パセリ:そんなのいやだ。
PJ: でもブームになったら、その犬種であれば何でもいい
ということになって、繁殖に向かないような個体でも
お金儲けのために使われたりするんだよ。
ブームだからって、予備知識もなく買いはじめて、
あとで、こんなはずじゃなかったって投げ出す人も、
出てくるかも知れないし。
パセリ:こわいね。
PJ: だいたいアメリカでは、この金融危機の影響で
50〜100万頭のペットが家を失う恐れがあるんだって。
パセリ:家を失うってなに?
PJ: 飼育放棄。要するに捨てられるってこと。
パセリ:無責任!
PJ: パパの話だと、【グラン・トリノ】っていう映画に
デイジーというかわいいイエローラブが出てくる
らしいんだけれど、主人公が“最後の行動”を起こす前に、
隣の家に預けられるんだって。
そのイエローの表情から、もう会えないんだってのが
伝わってきて、ガラにもなく泣けてきたって。
パセリ:デイジー、かわいそう。
PJ: 隣に預けたわけだし、同じ飼育放棄でも、
こういうのは許せるね。事情が事情だしさ。
パセリ:うん、許せる、許せる。
PJ: さっきのブームの話じゃないけど、
アメリカの人気犬種第1位は、何だか知ってる?
パセリ:オーストラリアン・ラブラドゥードル!
PJ: バカだね。
パセリの犬種なんて、ランク外だよ、きっと。
パセリ:じゃ、なに?
PJ: じゃーん。
18年連続で、わがラブラドール・レトリーバー。
パセリ:それって、ブーム?
PJ: 違うね。定着してるってことだよ。
だから【グラン・トリノ】みたいな映画にも
今のアメリカらしさを象徴するために
イエローなんかが出てくるんだよ。
パセリ:よく分かんないけど、アメリカにはPJさんの
ラブラドール・レトリーバーがいちばん多い
ということでしょ。
PJ: そうだよ。
パセリ:アメリカに生まれなくてよかったですね。
PJ: どういう意味だよ。
パセリ:アメリカに生まれてたら、ラブらしくないって
捨てられてたかも。
PJ: まさか、それはないと思うよ。
パセリ:そうですか?