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生フードについて考える 1
そもそも“生フード”って何?

犬のからだや消化の仕組み、食性にマッチした、生肉中心の食餌が“生フード”だ。生肉、生骨、生の内臓、生の野菜、付加物を原材料とし、その割合は、生肉・内臓・骨75〜90%、野菜10〜25%とか、生肉・骨60〜75%、野菜・内臓25〜40%だったりする。生食という言い方もある。

これに穀類を加えるかどうかは、現在も論議の的だ。野菜も、便宜的に“生の野菜”と記したが、ジャガイモ、サツマイモなど、ゆでないと与えられない野菜もある。


Photo: 生フードの一例。
2.5cm角のキューブの中に生肉、内臓、骨、血が入っている。


そもそも生フードとは、その進化の過程のほとんどを生ものだけ食べてきた、犬の直近の祖先である狼の食餌を手本にしようという考え方に基づいている。だから、カタチとしては、狼や野生時代の犬が獲物の草食動物から得ていた肉、骨、内臓、血、腸内残存物を、それぞれの想像力や思惑、利便性を考慮して再現したものになる。

単にボウルに肉や骨などの塊と付加物を放り込んで与えるプリミティブなやり方から、市販のものならペースト、パテ、プレート、キブル(粒)タイプからフリーズドライまで、さまざまなスタイルがある。

いずれにしても、高動物タンパク質、低炭水化物の、生肉中心の食餌、それが“生フード”だ。

野菜や穀類については、別項で触れるが、獲物の腸内には植物や果実、穀類が未消化で残っていて、これを食べることで食物繊維や、炭水化物を消化しやすいカタチで摂取していたという説に基づき、非常に細かく粉砕して加えるか、発酵野菜にして加えたりする。


Photo: 野菜は同じようなキューブだが、食材の割合を変えたり、
朝晩で与える内容が変えられるよう、別売になっている。


犬は肉食ではなく雑食という意見も根強いが、犬が本来何を食べてきたのか、あるいは何を食べるべきなのか、いわゆる犬の食性は、次のことからも説明できる。

1: 人間や草食動物と違い、穀類や植物をすりつぶす臼歯の代わりに、肉を噛み切り、骨を噛み砕く尖った臼歯(裂肉歯)や顎が発達している。

2: 動物の腐肉などから有害菌がからだに入っても、pH1の強酸性の胃酸で対処できる。

3: 犬の唾液にはアミラーゼ(デンプン分解酵素)が含まれていないため、穀類、イモ類の消化は苦手。しかし、生肉、生骨なら消化酵素や食物に含まれる食物酵素で効率よく分解できる。

4: 穀類や食物繊維の多い野菜を長い腸でゆっくり消化する草食動物と違い、長く留まると腐敗しやすい肉を短い腸管で短時間に消化。(生肉なら4〜5時間、乾燥フード16時間。)有害菌は問題を起こす前に排出する。

というわけで、肉食の犬が本当に食べたいと思っている、生の、つまり天然の肉や骨などから栄養を摂取する食餌、それが“生フード”ということになる。


「生フードについて考える」は、
下記の順番で掲載予定です。
1: そもそも“生フード”って何?
2: “生”のメリット・デメリット
3: 生骨って何のこと?
4: 穀類っていいの?悪いの?
5: どのくらいの量を与えるの?

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2010年05月05日 19:33に投稿されたエントリーのページです。

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