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生フードについて考える 4
穀類っていいの?悪いの?

穀類を愛犬に与えている方、与えたい方は、ぜひお読みください。


犬や猫に穀類が必要かどうかというのは、欧米の動物の栄養学の専門家の間でも、長い間、論議の的になっている。

穀類不要派と必要派のそれぞれの言い分を比べてみた。


●アミラーゼについて

穀類不要派:
犬の唾液には、穀類を消化する酵素であるアミラーゼが含まれていないので、穀類は不要。

穀類必要派:
犬には、穀類をすりつぶす歯がない。したがって犬の消化系のスタート地点は口ではなく胃で、唾液にアミラーゼは不要。



Photo: 玄米のおかゆをミキサーで粉砕。
おかゆのままだと胚芽等が消化されない。


●消化の問題

穀類不要派:
犬は草食動物の3分の1という短い消化管しか持ち合わせていないので、穀類がうまく消化できない。そのため、未消化や不完全消化の穀類は大量の軟便になる。一方、穀類なしの便は、完全に消化されるので量も少なくちょうどいい硬さだ。

穀類必要派:
狼を始めとする野生の肉食獣は、捕獲した草食動物の内臓を最初に食べる。その中には穀類や野菜の栄養価が十分吸収されるようほど良く消化された内容物を含む腸がある。


●栄養学的なこと

穀類不要派:
長期間、穀類抜きの食餌だけを続けた犬の血糖値が正常だった。もし炭水化物が必要であれば、内臓や野菜からも摂取できる。消化できない穀類は免疫系等を弱体化させている。

穀類必要派:
炭水化物は消化管で吸収され、グリコーゲンとして肝臓に蓄積されるが、これが正しく使われるとタンパク質がエネルギーに変わることを防ぎ、グリコーゲンとして蓄積されたものがタンパク質の代謝を調整する。中枢神経や脳にも必須で、炭水化物がないとタンパク質と脂肪がエネルギーに変換されるので、免疫力が弱まる。



Photo: オートミールのおかゆ。オートミールは酸性。
中性の玄米と組み合わせることが多い。
他に、大麦、ソバ、キビなどがいい。


●アレルギー問題

穀類不要派:
穀類に含まれるグルテンが、免疫器官を刺激してアレルギーや皮膚疾患を引き起こす。

穀類必要派:
穀類を与える場合、火を通しておかゆ状にするが、このような状態の穀類は、炭水化物、食物繊維、鉄、ビタミン、ミネラルの他に多様なアミノ酸を含むとてもよい栄養源だ。ノングルテンの穀類を使用すれば何ら問題はなく、大切な栄養素を逃すこともない。


●フィチン酸

穀類不要派:
発芽玄米などに含まれるフィチン酸が、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルと結合し、吸収阻害を引き起こし、その栄養価を十分に利用できない。

穀類必要派:
大量に摂らなければ、フィチン酸にはデトックス(毒素排除)作用や免疫活性作用がある。

というわけで、穀類/炭水化物摂取については賛否両論がある。


以下は私見。

コスト
1日の給餌量が体重の5〜3.5%前後の大きめの小型犬や中型以上の犬種に、穀類抜きで肉主体の食餌を与え続けるのは、経済的に負担が大きい。多頭飼いならなおさら。

だから、少量ならまったく害がない穀類を、愛犬の食餌にうまく取り入れればコスト面でのメリットが非常に大きいといえる。


わが家では
穀類不要派と必要派の言い分はどっちもどっちという感じ。

なので、不要ではないけれど、大量に摂る必要もないという風に解釈し、2種類のおかゆ状の穀類をミックスして、一定の範囲内で適当に与えている。


注)癌細胞は増殖のために炭水化物をエネルギーにする。したがって、犬の癌の食事療法では炭水化物を削減する必要がある。高脂肪、高タンパク、低炭水化物の食餌で、腫瘍をエネルギー不足にさせるのが狙いだ。


「生フードについて考える」は、
下記の順番で掲載予中です。
1: そもそも“生フード”って何?
2: “生”のメリット・デメリット
3: 生骨って何のこと?
4: 穀類っていいの?悪いの?

次回は↓
5: どのくらいの量を与えるの?

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2010年05月24日 17:23に投稿されたエントリーのページです。

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